先日紹介したPro-Q2について、続きの記事となります。
今回は、『EQ Match』という機能について、詳しく紹介をしてみましょう。
そもそもどんな機能?
例えば、あなたの理想に近い音のドラムのバラデータがあったとします。
しかし、なかなかその音を自分の環境で再現する事が出来ません。
そんな時この機能は、その音を再現するための手助けをしてくれます。
EQカーブをコピーする
まず最初に、他のプラグインのEQカーブをコピーしてみましょう。
今回試してみるのは、WAVESのプラグイン、『CLA Drums』です。
このプラグインは、簡単操作でプロのエンジニアの音を再現できる、とっても使えるプラグインです。
(このプラグインについては、また改めて紹介したいと思っています)
このプラグイン、通すだけでEQがかかり、音が明確に変わります。
しかし、どういうEQがかかっているかは見る事ができません。
なので、プロがどういうEQの使い方をしているのか、EQをコピーすることで実際に見てみる事にしましょう。
実際の操作手順
例として、ドラムのバスドラムのデータを使用します。
使用音源はこんな感じ。
まず、バスドラのデータを複製し、EQをコピーしたいプラグインを挿すためのトラックを作ります。
※トラックの複製ではなく、AUXで別トラックに送るなどしてもOKです。
コピーしたトラックに、音質をコピーしたいエフェクトであるCLA Drumsを挿入。
元のバスドラのトラックに、Pro-Q2を挿入し、サイドチェーンの入力に先ほどのコピーしたトラックを選択。
アナライザーのSCをオンにすると、通常のアナライザーの他に、赤い線でサイドチェーンの入力が表示されます。
EQ Matchをクリックすると、元の音とサイドチェーンの音を比較し、元の音をサイドチェーンの音に近づけるようなEQカーブが作成されます。
Macthを押すと、次にEQカーブのポイント数を設定します。
これはEQカーブをどの程度厳密に再現するかを決めるものです。
できあがったEQカーブがこちら。
それでは、実際に音を比較してみましょう。
元のトラック
リファレンスとなるプラグインを挿入したトラック
元トラックをEQ Matchで加工したトラック
元が同じ音を使っているとはいえ、かなりのレベルまで再現できている事がおわかりいただけたかと思います。
そして、かなり思い切ったEQがかけられているという事が、ハッキリと可視化されました。
CLA Drumを持っていない方も、このカーブを参考にEQをかけてみましょう。
それだけで、かなり『それっぽい』音になりますよ!
元が違う音を使うと?
では、違う音をマッチングさせたらどうなるでしょうか?
元の音(先ほどと同じ音)
リファレンスとなる、近づけたい音
そのままではだいぶ違う音である事がおわかりいただけると思います。
同じ手順で、EQ Matchをかけた結果がこちら。
実際のEQカーブはこんな感じになりました。だいぶ複雑になりましたね。
EQ Match適用後の音源
先ほどまで近くはなりませんでしたが、ニュアンスはだいぶ近くなっていると思います。
少なくとも、ゼロの状態から音作りをしてリファレンスに近づけるよりは、だいぶ近道になるのは間違いないでしょう。
そもそも、まったく違うサンプルの音をここまで近づける事ができるのですから、そう考えると十分すぎる結果かもしれませんね。
総評
正直なところ、使いどころが難しい機能かもしれません。
しかし、これからMixを勉強したい人にとっては、様々なプラグインがどういう音の変化をもたらしているのか、このEQで可視化する事が出来ます。
そういう意味では、非常に役に立つ機能と言えるでしょう。
また、2Mixに使う事により、リファレンスにしたい曲に周波数特性を近づける事も可能かもしれません(当然いろいろな調整は必要だと思いますが)。
使っている方で、私はこういう使い方をしているよ! というものがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね。
それでは、また。
fabfilter Pro-Q2
http://www.fabfilter.com/products/pro-q-2-equalizer-plug-in
ディリゲント(国内代理店)製品ページ
https://dirigent.jp/product/fabfilter/pro-q2/