チップチューンっていいですよね!
昔を知っている人には懐かしくて、知らない人には新しく聞こえる……そんな不思議なジャンルです。
しかし、実際に作ってみるとなると、普通の曲を作るようにはいきません。
というわけで、この連載ではチップチューンの作り方をソフトの紹介から音色の作り方、『らしさ』を出すためのポイントまで、具体的に解説していきたいと思います。
無料ソフトだけで試しに作ってみた
いきなりですが、最初に私が作ってみた作例をいくつか紹介していきましょう。
(音源はMP3形式ですが、もし聞けない場合などがあれば環境を添えてコメントいただければ対応いたします)
例1)ちょっとダークなRPGのオープニング風
例2)横スクロールアクションゲームの道中曲風
例3)パズルゲーっぽいイメージ
これらはすべて、次項で紹介する無料のソフト音源(YMCK Magical 8bit Plug)とプラグインエフェクト(SC BitCrusher)、そしてLogicに標準でついてくるプラグインのみで作っています。
※Logicのプラグインで使ったのは、マスタートラックのEQとリミッターのみ。
チップチューンは、作るために押さえておかなければならないポイントがいくつかあります。しかし、それさえ抑えてしまえば音数も少なく、DTM初心者の方にとっても作りやすい物かもしれません。
要点をキッチリ押さえて、まずは試しに挑戦してみましょう!
無料で手に入るソフト音源・プラグインエフェクト紹介
チップチューンを作るためのソフト音源・プラグインには、無料で配布してくれている物が多数あります。
せっかくですからその好意に甘えさせてもらいつつ、自分の制作に役立てていきましょう。
YMCK Magical 8bit Plug(ソフト音源)
(c) YMCK ダウンロードページより
■ 配布サイト: YMCK.net
チップチューン界では有名なユニット、『YMCK』が自分たちで開発しているソフト音源です。
ファミコン独特の音をちゃんとシミュレートしており、しっかりと『あの音』がでますよ。
※個別のGUIが実装されていないため、使っているDAWによって見た目は異なります。
使用レビュー
チップチューンを作るためのソフト音源は結構ありますが、この音源で特筆すべきなのは三角波とホワイトノイズ。
ファミコンは処理能力が低かったため、三角波は正確な三角波ではなく、独特のノイズが入っています。また、ホワイトノイズについても同様の理由により、荒い音がでます。
この音源では、その独特な音をしっかり再現しており、なんとなく作ってみても『それっぽい』音ができあがるのが特徴です。
また、サンプリング音源ではないので、パラメータをすべて自分で設定できます。チップチューンではADSRやモジュレーションなど、細かい音色の調整が非常に大事なので、これも重要なポイントです。
プリセットはついてこないようですが、エディットさえちゃんとすれば、とりあえず必要な音は作れます。
まずはこれをインストールしておけば問題ないでしょう。
SC BitCrusher(ブラグインエフェクト)
(c)Stagecraft Software
■ 配布サイト: Stagecraft Software
無料配布されているビットクラッシャー・ダウンサンプリングエフェクト。
使用のためにはメールアドレスの登録が必要です。
使用レビュー
チップチューンの『らしさ』において大事なポイントとして、いわゆる『8bit感』が挙げられます。この『SC BitCrusher』を使うことで、良い意味での『音の荒さ』を与えることができるわけです。
『ザリッ』とした質感や、音が消えていく時の感じなどは、ビットクラッシャー独特の物で、普通の歪みエフェクトでは出せません。
フィルターにLFOをかけられたり、バイパス音のMix量を調整したりなど、無料のわりにはいろんな事ができるので、チップチューン制作以外でも普通に汚し系エフェクトとして使えると思います。
また、このメーカーでは他にもいくつかのプラグインが無償配布されており、その中にはフィルタープラグインもあるようです。音作りにもっとこだわってみたい方は、使ってみるのもいいかもしれません。
無料配布されている物は他にもいろいろ!
無償配布の物に限っても、探してみるといろいろあるようです。
多少古かったり、対応OS・プラグイン形式が限られたりもしていますが、もっといろんな音を出してみたい方は、ネットで探してみるといいでしょう。
次回予告
さて、今回はチップチューン制作に必要な2つのソフトを紹介しました。
次回以降は具体的な音作りについて触れていきたいと思います。お楽しみに……!
それと、試しに作った音源ですが、もう少し手直しをして使いやすくした上、このブログにてフリー素材として配布予定です。もう少々お待ちください。
次回:
チップチューンを作ってみよう! ドラム音色エディット編