今回はアコースティックドラムにおけるタムのイコライジングポイント、EQの使い方を紹介していきたいと思います。
曲のアレンジによって、タムの使い方は様々であり、それに合わせたイコライジングを考える必要があります。
その辺を念頭に置きつつ、音作りを進めていきましょう。
タムEQのポイント
前回のトップマイク編にも関わってくるのですが、タムの音というのはトップマイクから入ってくる音とタム単体での音、両方が合わさって聞こえてきます。
もしタムが思い通りの音にならない場合、トップマイクの音が影響を与えている事も考えられるので、そちらの音をいじってみるのもひとつの考え方ですよ!
また、最初に書いたとおり、タムがどういう使われ方をしているのか、というのは非常に重要な部分です。
フロアタムが多用されているから低音を強調する、というのはひとつの考え方ですが、それだと低音がうるさくなってしまう事も考えられます。
その音がどういう目的で使われているのかを考えながら、イコライジングを進めていきましょう。
キーとなる周波数帯域
最低域(〜80Hz)
感覚的に感じる低音の部分です。
ただし、フロアタムはここをカットするとだいぶスカスカの音になってしまいます。
パーカッシブなアタックが欲しいのか、低音の響きが欲しいのか、それによって判断をしていきましょう。
ハイタムなどでは、低域が飽和するのを防ぐため、思い切ってローカットしてしまうのもひとつの手法です。
低域(100Hz〜300Hz)
ハイタムならば、音の厚みを決める音域ですが、フロアタムの場合だとボワボワする音域なのでカットする事が多いでしょう。
タムの種類によって、だいぶ印象が変わってくる音域です。
中低域(400Hz〜800Hz)
ヘッドの鳴りをコントロールする部分。
ここをブーストする事によってヘッドの鳴っている感じを前面に出す事ができ、カットするとスッキリとした、いかにも加工されたタムの音、というイメージになってきます。
中域(1kHz〜3kHz)
ヘッドにスティックが当たるアタック音の部分。
ここを操作する事で、アタック音を強調したり、逆に弱めたりすることができます。
中高域(4kHz〜8kHz)
音の堅さをコントロールする部分。
ブーストすればバチッという固い音になり、カットする事で柔らかいもので叩いたような音になってきます。
高域(9kHz〜)
音のきらびやかさのコントロール部分。
ブーストすればハイファイっぽい音になりますが、上げすぎてバランスが崩れてしまわないように注意しましょう。
イコライジング例の紹介
イコライジング前の音
タムのみ
ドラム全体
使用している音源は、Superior Drummer 2の標準キットをそのままパラアウトで使っています。
ドンシャリ系のセッティング
- 120Hz以下を+2dB
- 460HzをQを狭めて-9dB
- 6kHzをQを広めに+3.5dB
タムのみ
ドラム全体
スッキリとさせつつも、フロアタムの低音を生かすようなイコライジングです。
もし低域が邪魔になる場合は低域のブーストをしないか、思い切って最低域をローカットしてしまうのもひとつの方法です。
ヘッドの鳴りを強調した音色
- 120Hzを-4dB
- 670Hzを+5dB
- 11kHz以降を+7.5dB
タムのみ
ドラム全体
先ほどのセッティングに比べると、低域はあっさりになったかわりにヘッドの鳴りがよく感じられるようになったのがわかると思います。
低域が物足りない場合は、低域のカット分を減らすか、最低域にもう一つEQポイントをつくり、そこをブーストしてあげるというパターンもあります。
まとめ
曲によって、タムは様々な使われ方をします。
メインでリズムを刻む時もあれば、ほとんど使われない場合もあります。
まずはその曲でタムがどういう役割を果たすべきなのかをしっかり考えた上で、それに応じた音作りをしていくようにしましょう。
また、トップマイクとの兼ね合いも大事です。
音が思うようにならない場合、トップマイクの音が影響を与えている事が多々あるので、そこも確認しつつ、音作りをしていきましょう!
それでは、また。
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