ヘッドホン選びのポイントを踏まえて、参考情報として今までに私が使ってきたヘッドホンのレビューを紹介いたします。
前回の記事はこちら。
失敗しないための、モニターヘッドホンの選び方
まずは、モニター特化タイプ3機種のレビューからお届け。実際に使ったことがある物のみですので、機種の選定が偏ってたり、ちょっと古めの物が多いですがそこはご愛敬という事で……。
目次
【注意点】
このレビューは私のおすすめではなく、実際に使用したことがある、または使用している機種のレビューになります。また、機種によっては購入したのが大分昔になるため、現行品とは異なる場合があります。
あくまでも主観でのレビューですので、参考としてお読みいただき、最終的には自分の耳で確認することをおすすめいたします。
Sony "MDR-CD900ST"
女の子に例えるなら……
『仕事一筋のバリキャリ』
ちょっと融通が利かないところはあるけど、仕事はバリバリこなす高スペックな彼女。でも、たまにはちょっと甘えさせて欲しいかも……。
概要
(c)"MDR-CD900ST" カタログより
最初にも書きましたが、モニターヘッドホンといえばコレ、というレベルで有名であり、実際に使っている人も多い機種です。
元々が完全にプロ用として設計されているため、耐久性が非常に高く、万一故障したり破損した場合でも、スペアパーツなどが簡単に手に入ります。
音の傾向
とにかく鮮明な音が特徴です。
耳に痛いというわけではありませんが、音の輪郭などがハッキリ聞こえてきます。音の解像度が非常に高いため、エフェクトによる音質変化が非常に把握しやすく、リバーブなどの余韻も聞き取りやすいです。
特に、録音した音の『あら探し』をする場合などは、この上なく向いている音と言えるでしょう。
また、音圧が高く感じられ、バンドレコーディング一発録りなど爆音の中でも、クリックやモニター音がはっきり聞こえます(そのレベルまで音量を上げるとちょっと耳が痛いです)。
気になる点
良さの裏返しでもあるのですが、音がハッキリ聞こえすぎて疲れます。聞くのに緊張感を強いられる感じとでも言えばいいでしょうか……。
また、レコーディング現場での音漏れを防ぐためと思いますが、かなり側圧(ヘッドホンが頭を挟み込む力)が強いです。イヤーパッドもそれほど厚くないので、長時間の装着だと耳が痛くなる場合があります。
総評
さすがに定番だけあって、ミックスダウンに必要な性能は十分すぎるくらい持っています。
何度も言うように日常的に音楽を楽しむのに向くタイプとは思えませんが、モニター用としてはいまだに現役バリバリで使える機種です。
また、業界で定番となっているため、まだしばらくの間は販売終了になるとも思えません。スペアパーツの豊富さも合わせ、長く使える一品だと思います。
■ Sony "MDR-CD900ST":製品情報ページ
■ サウンドハウス での レビュー確認・商品ページはこちら
Roland "RH-200S"
女の子に例えるなら……
『クラスで7番目くらいの美少女』
ダントツで可愛いわけじゃないけど、話が合う。なにより、こんな自分の事でも好きになってくれるかもしれない……。
概要
(c)Roland 製品ページより
メーカーがそう狙って作ったのだと思いますが、全体的な音の印象が900STに近いです。
今も現役で使っており、歌録りなどの際のモニター、サブのヘッドホンとして利用しています。
音の傾向
900STの低音をちょっと強調したような感じでしょうか。
さすがに900STには及びませんが、価格を考えれば音の解像度などはかなり検討していると思います。
気になる点
これも900STと同じような所になります。
しかし、価格帯的に仕方ないこととはいえ、音の解像度などについても、やはり900STよりはワンランク落ちます。
総評
廉価版900STといった印象。
しかしながら、正直なところ今あえてこれを選ぶ必要は無いかも……。
私のように、何かしらの理由で2台目のヘッドホンが必要になるような場合なら検討する価値はあるかもしれませんね。(今ならもっと良い選択肢があるかもしれませんが)
■ ROLAND RH-200S:製品情報ページ
■ サウンドハウス での レビュー確認・商品ページはこちら
Etymotic Research "ER-4S"(カナル型イヤホン)
女の子に例えるなら……
『わがままなハイスペックお嬢様』。
メチャメチャわがままだけど、超可愛くて超ハイスペックなお金持ちのお嬢様。惚れちゃったら負け。
……なんかラノベによく出てきそうなキャラですね。
概要
(c)Etymotic Research 製品ページより
そもそもヘッドホンではなくイヤホンですが、私が利用している機種としてレビューしておきます。
その道では有名なイヤホンなんですが、凄まじいまでに音の解像度が高いです。このメーカーは補聴器や音響測定装置も製作しており、そのイメージ通りのカッチリとした音がします。
カナル型なので音漏れは基本的にありませんが、自分の声が直接頭蓋骨に響くため、歌録り時のモニター用途には向きません。
音の傾向
概要にも書いたとおり、とにかく解像度の高く、かつ正確な音です。同じモニター系でも900STとはちょっと違い、繊細かつ正確、という感じで聞き疲れはあまりしないタイプというべきでしょうか。
このイヤホンを買った時、過去の自分の音源を聞いて愕然としたのをよく覚えています。今までは気にならなかったMixの細かいアラが、全部聞こえてしまうのです。
音のよい音源はすばらしいまま、音の悪い音源は正直に。そんないかにもモニターらしい音がでてくるイヤホンです。
また、カナルタイプは元々外の音は聞こえにくい物ですが、これは特筆するレベルで遮音性が高いです。下手な耳栓より強力かもしれません。電車のなかで装着すると、電車のノイズはほぼ聞こえなくなり、アナウンスがかすか聞こえるくらい。
この遮音性により、音量を大して上げることなく音楽を楽しむことができます。逆に言うと、間違っても自転車に乗ってるときにつけたりしてはいけません(元々ダメですが)。冗談抜きで危険です。
気になる点
低音が薄めです。鳴っていないわけではなく、タイトな低音という感じ。低音多めが好きな人には間違ってもお勧めできません。
ケーブルが撚りケーブルでちょっと固めのため、タッチノイズがかなり盛大に聞こえます。遮音性が高い分、なおさら気になるかもしれません。
Shure掛けをすれば多少はマシになりますが、それでも気にする人は気にするレベルかもしれません。
装着にも神経を使います。カナル型はどうしてもそういう側面がありますが、これは特に耳の奥まで挿入するため、ちょっとズレると定位がずれたりする事さえあります。人によっては耳が痛くなってしまう場合も。
感度があまり高くないため、出力が弱いヘッドホン端子だと音量がとれない場合があるそうです。私が使っているiPhone5では、特に問題は感じておりません。
デザインも……うん、なんか研究機器といった雰囲気。
総評
良い点、悪い点ともに極端です。900STよりもさらにとんがってる製品と言えるでしょう。
しかしながら、その音については欠点を補ってあまりあるレベルの正確さ、綺麗さです。
音の傾向的にはモニター系になると思いますが、ジャズやクラシックを聴く時などには非常に相性がいいイヤホンでもあります。低域の量感があまりないので、ダンス系・ロック系には向かないでしょう。
ただ、イヤーピースをComplyというメーカーの物に替えることで、低音が少しだけ強化され、付け心地も大分良くなります。
繊細で扱いは難しいですが、用途や好みにハマればこれ以上の選択肢はないイヤホンです。
■ Etymotic Research "ER-4S":製品情報ページ
■ サウンドハウス での レビュー確認・商品ページはこちら
モニター特化型タイプのまとめ
私の中でモニター特化型に分類されるタイプのヘッドホンをレビューしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
作業に使うという面ではやはり特化型は強いです。その分、融通が利かない部分も多いのですが……。
もしこのタイプが必要ならば、その辺のメリット・デメリットをよく検討し、自分に合った物を選びましょう。
次回は、他タイプのヘッドホンについてレビューを進めていきたいと思います。
続き:
女の子に例えると? ヘッドホンレビュー リスニング兼用型